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存在しない子供

ブレイン、僕はね、ママが幸せであればいい、ただそれだけだったんだ。

かっこいい玩具も広い世界地図も、焼き立てのクッキーもパンケーキも要らなかったんだ。

ブレイン、僕は、何処で間違ってしまったのだろう。

ママが笑わなくなってから、全てが変わってしまった。

ママがいなくなってから、全てが死んでしまった。

ねぇブレイン、元には戻らないのかな?

ママのいない日々になんの意味があると言うんだ?

ブレイン、君にだったら出来るよね。不可能を可能に出来るよね。

「次は何を失うと言うんだい?」

言われて気付いた。僕にはもう失うものすらない。

失うものすらない僕に、何を得る資格があるだろうか。

ねぇブレイン、此処は寒いね。もっと暖かい所へ行こう。

ねぇブレイン、僕はね、自分の幸せさえ掴もうとしなかったんだ。

罰、なのかな。この寒さも、ママがいなくなったことも。

だとしたら、神様は残酷だね。願った夢すら叶わないうえにこんな仕打ち。

ねぇブレイン、何も見えないよ。もうママのいるところに逝くのかな。

だとしたらいいなぁ。やっとママに逢えるんだ。

ねぇブレイン、僕は幸せをやっと掴むんだ。

シューベルトが聴こえるよ。嗚呼、あそこはなんて暖かいんだ。

ねぇブレイン。